2016.12.07 Wed
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「つば」のチカラで風邪を撃退? 唾液の作用がスゴすぎる(1/1ページ)

Bright Blue Eyes - Teething Baby

寒くて空気が乾燥する冬。特に口腔内が乾燥していると、ウイルスに感染しやすくなってしまいます。この永遠の冬の課題に対抗すべく注目を集めているのが“唾液”。唾液には、口を湿らせるなど口腔内の機能維持はもちろんのこと、流感予防をはじめ、全身の健康に関わるスゴイ作用が備わっているというのです。

今回は、唾液のパワーにいち早く注目し、『体の不調は「唾液」を増やして解消する』を著した京都府・竹屋町森歯科クリニック院長・森昭先生に取材。歯科の治療の一環として唾液促進指導なども行っている森先生に、唾液の持つ多様な役割や、分泌を促すノウハウをお聞きしました。

 

監修:森昭 先生
竹屋町森歯科クリニック院長、歯科医師臨床研修指導歯科医。人口8万人の小さな町の歯科医院でありながら、3ヶ月先まで予約が取れないという人気歯科医院。「歯医者を行きたい場所に変える」をモットーに掲げ、特にデンタルエステには定評がある。唾液分泌を促進させる癒しの予防歯科(デンタルエステ)を全国の歯科医師、歯科衛生士に啓発。第1回「歯科甲子園」準優勝。著書に『体の不調は「唾液」を増やして解消する』(PHP研究所)『行列のできる歯科医院3』共著(デンタルダイヤモンド社)などがある。

 

そもそも唾液とは

唾液の成分は99.5%が水分でできており、残りがナトリウムなどの無機質と、酵素などの有機質です。大人1人が一日に出す唾液の量は、なんと約1.5L! 口内の食べ物を体内に吸収しやすくする消化液であるとともに、主に口腔内の機能維持を担っている分泌液です。

唾液は大きく分けて6つの作用を持っています。

 

1 おいしさを感じる作用

私たちがふだん感じている「甘味」「酸味」「塩味」「苦味」「旨味」などの「五味」。これら味物質は、唾液の中に溶け込み、舌の味蕾(みらい)と呼ばれる味覚受容器に届けられることで、味として認識されます。唾液がないと味蕾に味が伝わりにくくなるばかりか、舌がこすれて味蕾がなくなるなど味覚障害に陥ることがあります。

 

2 洗浄作用

唾液の水分が、口内に蓄積された食べかすや細菌を洗い流します。そのため、唾液の分泌量が少なくなってしまうと口内が汚れやすくなり、虫歯になったり、口臭が出たりします。

 

3 中和作用

ものを食べると、口内細菌が食物を代謝する際に酸が生じ、口内は酸性に傾いていきます。歯は飲食するたびに酸で少しずつ溶けており、その溶け具合が大きいと虫歯の原因に。しかし唾液に含まれるカルシウムやリン酸が歯を修復して元に戻してくれるのです。

 

4 歯やほっぺたを守る作用

唾液にはムチンというネバネバしたタンパク質が含まれています。固いものを食べても口の中が傷つかないのは、ムチンが粘膜をコーティングしているおかげ。さらに、ムチンは歯もコーティングし、虫歯の原因であるミュータンス菌の進入を阻んでいます。

 

5 口の中を湿らせる作用

食べ物を飲み込む時、口から喉の部分が乾燥していると食べ物がひっかかって喉を通らなくなってしまいます。唾液の水分は食物を湿らせ喉を通りやすくします。同様に、口の中が乾いていると舌がなめらかに動かず滑舌が悪くなりますが、唾液で湿らせることによって素早くクリアな発音ができるようになります。

 

6 消化作用

唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれています。アミラーゼは糖分を分解し、食物の消化を促進させます。唾液の分泌量が少ない場合、消化が悪くなり胃への負担が大きくなります。

 

 

以上が唾液の主な作用であり、いずれもQOL(Quality of Life)を決める重要な働きを担っていることが分かります。

「でもせいぜい口の中だけの問題でしょ。唾液がなくとも命に別状はないのでは?」

と思っているあなた。少し想像力不足です。口の中の健康状態は、あなたが思っている以上に体全体に波及するという例を、以下に挙げてみます。

 

 

 

唾液が少ないと流感にかかりやすくなる

Young girl in autumn park blowing nose. Standing in park in warm clothing.

冬場に流行する風邪やインフルエンザは、主に空気感染や接触感染で伝播します。口や鼻から吸い込む、あるいはウイルスがついた手で口や鼻に触れてウイルスが口腔内へと入ってきます。この時唾液が十分に出ていれば、口腔〜喉の粘膜部分はムチンに覆われ、ウイルスが細胞の内部へと入るのを阻止し、感染リスクを下げることができます。しかし唾液が少ないと、バリアが壊され、ウイルスが細胞内に入り込みやすくなります。 また、唾液中にはリゾチームやラクトフェリンなど、さまざまな細菌やウイルスをやっつける酵素が含まれています。口腔に関与する細菌や、ノロウイルスなど一部のウイルスに対して抗菌作用を発揮し、生体を外敵から守る役割を果たしています。。

 

唾液が少ないと歯周病菌が血管に入り動脈硬化を招く

precipitate and narrowing of the blood vessels - arteriosclerosis

前述の「ほっぺたを守る作用」と同様に、歯肉は通常、唾液に守られています。唾液が少ないと歯肉が傷つきやすくなり、そこから歯周病菌が侵入してしまうことも。血管に侵入した歯周病菌は動脈硬化を誘発する物質を出し、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞などのリスクを高めるといわれています。

 

唾液が少ないと糖尿病にかかりやすくなり、負のスパイラルに

Syringe and insulin bottle

歯肉から血管に侵入した歯周病菌は、インスリン(血糖値を下げるホルモン物質)の働きを邪魔します。すると血糖値が下がりにくくなり、糖尿病になりやすくなります。高血糖状態が長く続くと、唾液中にも糖分が増え、それを養分として口内細菌が活発化。糖尿病になると尿量が増えて脱水にもなりますので、唾液量が減少。歯周病が糖尿病を悪化させ、糖尿病が歯周病を悪化させる負のスパイラルに陥ってしまいます。

 

唾液の正常な分泌をうながす習慣

これまで述べてきたように、唾液がないと、口腔の渇きからはじまる小さなトラブルがやがて全身へと影響し、いろんな不調を招いてしまいます。しかし現代人の唾液分泌量は減少傾向にあります。従来であれば1.5Lあったところ、近年は800ml〜1Lほどに減っているのではといわれており、その最たる理由は「よく噛む機会が減ったため顎や唾液腺が退化した」との説が有力です。

そもそも口は、食べ物を噛んですりつぶし、消化液で吸収しやすくするために発達した臓器です。噛むことが唾液分泌のスイッチとなっており、噛む→唾液が分泌される→食道〜胃まで消化吸収の準備が整うという仕組みになっています。

ところが現代の食事は柔らかく食べやすくなっており、噛む機会が急速に失われています。子どもの歯の本数が減り、顎が小さくなっているように、噛む力、ひいては唾液の力は使わないとどんどん退化してしまいます。そこで、噛むこと+生活上のちょっとした心がけを習慣づけ、唾液の正常な分泌を促進しましょう。

 

 

1.よく噛む

Closeup of a mouth biting a red apple

まずはよく噛む習慣を取り戻しましょう。ここでは森先生が紹介する、よく噛むための工夫を紹介します。

 

・食事中に飲み物を飲まない

飲み物と一緒に食べ物を胃に流し込んでしまうと、噛む回数が減ってしまいます。食事中は飲み物を飲まず、食べ終わってから飲むように変えてみましょう。

・食材を大きく切り、固さを残す

食材はあえて大きくカット。柔らかくなるまで煮すぎず固さを残すようにして調理しましょう。必然的によく噛む習慣が身につきます。

・繊維質が多く噛み応えのある食材で、「唾液筋トレ」する

繊維質の多い野菜、キノコ、海藻、干したものなど噛み応えのある食材を意識的に摂り、顔や口の筋肉を発達させて噛む力を養う「唾液筋トレ」を行いましょう。特にスルメは「キング・オブ・唾液筋トレ食」。一番硬いあたりめを、時間をかけて噛んでみましょう。

 

2.食後にすぐ歯は磨かず、歯磨きは1日2回

Toothbrush and alarm clock

食後すぐに歯を磨くようにしている人も多いと思いますが、実は大間違い。よく噛んだ食後は一番唾液が出ている時間帯であり、その時に歯磨きをしてしまうのは、唾液の恩恵をまるごと捨てているのと同じです。 理想的な歯磨きのタイミングは食後ではなく、朝起きた時と晩寝る前の2回。昼はデンタルフロスをしたあと、歯を軽く舌でなめて唾液でコーティングしておけばOKです。

 

 

3.口呼吸をしない

woman is deep breath

そんな当たり前のことを……と思うかもしれませんが、実際、無意識のうちに鼻ではなく口で呼吸してしまっている人は意外に多いのです。口呼吸は口内乾燥の直接的な原因になるばかりか、免疫を司る扁桃に負担をかけるなどデメリットだらけ。知らず知らずのうちに口呼吸になってしまっていないかチェックし、呼吸する時は腹式呼吸。鼻で息をするように心がけましょう。

 

 

4. 唾液の出やすい姿勢をクセづける

Businessman Sitting On Pilates Ball And Using Computer

唾液の分泌は、全身の血流循環に依存しており、血流のいい姿勢をとっていれば、出やすくなります。特に乾燥しがちなオフィスで長時間デスクワークに励む人は、唾液が正常に分泌される正しい座り姿勢を身に付けておきたいもの。血液やリンパ液は体の下から上に上がっていく時、ふくらはぎなど骨格筋の筋力でポンプのように押し上げられてきます。なので、骨盤に体重をかけないように前傾し、ふくらはぎの張りを感じるようなイメージで座るようにしてください。

 

 

5. 舌回しエクササイズをする

Woman shutting her mouth

森先生の歯科医院では唾液腺のマッサージを行っていますが、ここではいつでもどこでも気軽にできて覚えやすい、唾液が出やすくなる「舌回しエクササイズ」をご紹介しましょう。 口を閉じ、口腔内で舌を歯茎にそわせて回すだけ。朝の身支度をしながら、テレビを見ながらでもできるこの運動を一日30秒行いましょう 。

 


 

まだまだ未知の可能性を秘めた唾液。風邪をひきやすいこの時期に救世主になるかも? 身近にはじめられる健康習慣として、ぜひ意識してみてはいかがでしょうか?。

 

 

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