2016.09.21 Wed
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「あがり」を制するアプローチ 緊張のメカニズムを理解する(1/1ページ)

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ビジネスシーンで大きな成功をモノにするために、避けて通れないのが商談でのプレゼン、大勢を前にしたスピーチなどの大舞台。前日までの準備はバッチリだったのに、いざ本番では緊張のあまり本領を発揮できず、悔しい思いをしたという人も多いのでは? それにしても、どうして人は緊張するんでしょうか。わけがわからないままにドキドキして終わってしまう緊張という現象、そのメカニズムを神経学の側面から解説します。

 

 

多くのビジネスマンが悩んでいる、緊張による悪影響

Speaker at Business Conference and Presentation. Audience at the conference hall.

 

ある調査によると、程度の差こそあれ、日本人の8割の人が「緊張しやすい」「あがり症だ」と感じているのだとか。いつも涼しい顔してプレゼンをやってのけるあの人だって、実は緊張と闘っているのかもしれないのです。ビジネスにおいて、どのような場面で緊張しやすいのか、また、どのような症状が出やすいのか、一般的な例を挙げてみましょう。

<緊張しやすいシーン>

・大勢の前で話・スピーチ・プレゼンをする時

・面接の時

・目上の人(上司、社長、年配者など)と話をする時

・初対面の人に会う時

 

<緊張した時に出やすい症状>

・心臓がドキドキする・脈が早くなる

・上手く話せない・声がどもる

・手に汗が出る

・赤面する

・頭の中が真っ白になる

・体中、汗が出る

・手足に震えが出る

・トイレが近くなる

・饒舌・早口になる

・やたらと喉が渇く

本来のパフォーマンスを発揮したいのに、させないように邪魔をする、最大の「敵」とも言える緊張は、一体、どのようなしくみで発生するのでしょうか。

 

 

そもそも緊張とはなんのためのもの?

Athletic woman running a race

 

これを読んでいるアナタ、今、全エネルギーを使っていますか? おそらくそうではないですよね。何から何まで全力を使っていたら、アクセル踏みっぱなしの車と同じで、息つく暇もなく、ぐったりと疲れ果ててしまいます。とはいえ、終始リラックスした状態では反応が鈍り、ここぞという時に十分な力を発揮できません。

そこで、望む時に望む反応や動きをするためにアクセル役を果たすのが、アドレナリンというホルモン物質。アドレナリンは、外的刺激をきっかけとして分泌され、緊張状態をつくり出すことにより、筋肉や脳の機能を通常よりも向上させます。緊張状態にあるということは、よりよいパフォーマンスをするための準備が整ったサインなんです。

 

 

緊張を司る物質・アドレナリンとは?

3d render medical illustration of the adrenal - back view

 

アドレナリンは、いくつかの段階を踏んで分泌されます。はじめに視覚から刺激を受け、それが自律神経の働きをコントロールする中枢器官の「視床下部」に伝わり、交感神経を緊張させます。さらに、視床下部から「脳下垂体」へ緊急指令が出され、そこから腎臓の近くにある内分泌器官「副腎髄質」へと信号が送られ、アドレナリンが分泌される仕組みです。アドレナリンの分泌にともない、血圧の上昇や心拍数の促進、発汗等の身体反応が起き、集中力も高まるといわれています。

興奮している時によく「アドレナリンが出ている」なんて言葉を使ったりしますが、アドレナリンはまさに、興奮作用のある交感神経のスイッチを入れて、さまざまなピンチに対抗する底力を引き出してくれます。緊張、危機、不安、恐怖、怒りなどの感情によって分泌されると言われていて、人間が命を守るために獲得した本能的な機能であると考えられています。

 

 

「適度な緊張」と「過度な緊張」

Business executives having a discussion

 

先ほど述べたとおり、アドレナリンの分泌によってつくり出される緊張状態は、本来、筋肉や脳の機能を平常時よりアップさせるためのもの。実際、適度な緊張感のある時は、いつもより作業効率が上がったという経験を持つ人も多いのではないでしょうか。たとえば締め切り時間に追われている時などは、アドレナリンの効果が適度に発揮されているのか、集中して仕事をやり遂げることができますよね。これはいわば、アクセルを適度に踏んだ状態で、アドレナリンが適正に機能していることを意味します。

かたや、プレゼンなどの衆目にさらされる場面では、過度に緊張して何も手につかなくなることがあります。これは他人からどう見られているか、うまくできないのではないかといった社会的なプレッシャーが加わり、無意識にアクセルを思いっきり踏んでしまうため。アクセル全開状態のなか、アドレナリンが過剰に分泌されて、さまざまな弊害が出てきます。

 

 

過度な緊張がもたらす肉体症状・精神症状

Young businessman leaning against wall in lobby

 

過度に緊張してアドレナリンが大量に分泌されると、動悸、震え、赤面、発汗などの肉体症状が現れます。それと同時に、頭が真っ白になって言葉に詰まったり、話せたとしても支離滅裂になったりと、一種のパニック状態に陥り、肉体的にも精神的にもかなりツライ状況に追い込まれます。

これは肉体症状のひとつである心拍の乱れにより、心臓が体内に血液を循環させるポンプの役割を十分に果たせなくなることと関係しています。平常心を失った時、「頭に血がのぼる」などと言いますが、緊張状態では脳への血流が増えすぎて、パニックに陥ることがあるのです。また、脳自体も過緊張状態に弱く、ワーキングメモリーなどの記憶装置が一時的に働かなくなって、頭が真っ白になるという異常事態を引き起こします。

結局、脳も身体も適度な緊張状態にあってこそ正常に作動し、相乗効果を生むのであって、過剰な緊張はどちらの機能も低下させ、悪影響をもたらすだけ。ここぞという時に、いろいろな症状が一気に襲いかかってくる原因はすべて、度を越した緊張にあるのです。

 

 

改善の糸口は、やはり“場数”

度を越した緊張から解き放たれ、本番で実力を発揮するためにはどうすればいいのでしょうか? ここでお手本にしたいのは、一流のアスリートたち。彼等はオリンピックのような大舞台で自由自在に望んだ通りのパフォーマンスを発揮しているように見えますが、その実、人の目にふれないところでは数々の地道な勝負を積み重ねてきています。緊張の瞬間を何度も体験することで、失敗に学び、イメージトレーニングを重ねて、アドレナリンを「適度に」分泌させるコントロール術を身につけているのです。

神経学の観点から見ても、脳はさまざまな刺激に対して絶対的に慣れていくもの。脳が緊張状態を何度も経験してアドレナリンの分泌に慣れてくれば、過剰な肉体反応もいつしか和らいでいくハズです。そのためには、失敗が許されない大勝負だけでなく、ちょっとした発表やスピーチなどハードル低めの場で積極的に経験を積み、だんだんと自信を構築していくことが重要です。

 


 

「人前で話すのが大の苦手なのに、自分からわざわざ挑んでいくなんて、想像するだけでユウウツだ……」その気持ち、わかります。しかし回避しつづけていると、いっそう挽回の機会は遠ざかり、いつしか逃げられない場面で大失敗することになるかも。気が向いた時だけでもいいので経験を積み、アドレナリンとうまく付き合うコツを見つけて、ここ一番でキメられる自分をめざしましょう!

 

監修  米山 公啓yoneyama
聖マリアンナ大学医学部卒業後、聖マリアンナ医科大学等の神経内科医を経て、米山医院(東京都あきる野市)を開院。現在は、医師として活動する一方、医学ミステリー小説や医療実用書などを手がける作家としても活躍中。著書に『脳が若返る30の方法』(中経出版)、『もの忘れを90%防ぐ方法』(三笠書房文庫)などがある。

http://yoneyamakimihiro.main.jp

 

 

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